中島義道『私の嫌いな10の人びと』を読んで

いわゆる”いい人”というのは、

もしかしたら、ただ単に怠惰に生きているのかもしれない。

弱くて鈍感なのかもしれない。

「笑顔の絶えない人」

「常に感謝の気持ちを忘れない人」

「みんなの喜ぶ顔が見たい人」

「いつも前向きに生きている人」…

無自覚に生きている自分と重なる部分が多々あり、痛いところを突かれたなと思いながらも面白く読みました。

言葉ひとつ、行動ひとつ、よく吟味して生きていきたいものです。

とにかく一旦立ち止まることから始めます。

本のこと

著者:中島義道

題名:『私の嫌いな10の人びと』

発行所:㈱新潮社

出版年:平成20年9月1日

ベージ数:247ページ

印象に残った言葉

地獄絵図のような恐ろしい光景です

マイノリティを押しつぶす加害性、それにもかかわらずそれに気づかない鈍感さ……ああ、嫌いだ、嫌いだ!

もっと自分の弱さとずるさを自覚して謙虚になってもらいたい

 

子どもの自然の感情を圧殺し、悲しくても笑う癖をつける暴力に改めて怒りを覚えます。

 

つまり、「感謝の気持ちを忘れない人」の多くが、こちらの意向を足蹴にしてでも、自分が納得したいがために、世間の慣習どおりのことを貫こうとするのです。

 

共通するのは、自分の頭で考えず、世間の考え方に無批判に従う怠惰な姿勢だ。多数派の価値観を振りかざし、少数派の感受性を踏みにじる鈍感さだ。そんなすべてが嫌なのだ!

 

世間一般でいう「いい人」や「みんな」「和気あいあい」「しきたり」…に潜む欺瞞や嘘、鈍感さ。

染み付いた考え方や当たり前としている概念や慣習について考える機会を与えてくれました。